トビイ ルツのTraveling Mind

カテゴリ:食( 163 )




「大地の出汁」の薬膳スープ

「食」は大事な旅の体験のひとつ。世界中どこに行っても必ずご当地名物や旬の味があるものですが、案外「この場所に来ない限り体験できないな」と思えるような、印象深い料理を見つけるのは難しいものです。

その点「これぞ究極的にユニークな土地の味かもしれない」と感じた一品がありました。別府の鉄輪温泉に4月にオープンした『蒸士茶楼(むしちゃろう)』でいただいた、薬膳スープです。
鉄輪は、豊富に湧き出る高温の温泉の蒸気を利用した「地獄蒸し」という方法で、昔から煮炊きが日常的に行われている場所。多くの湯治宿の中や軒先で、もくもく上がる蒸気の「天然のコンロ」でお湯を涌かしたり、蒸し料理を作る様子が見られます。

私がいただいた薬膳スープも、そんな独特な土地の性質を利用して作ったスープ。雲南料理で使う鍋が使われているのですが、フタの部分が煙突のように尖ったモロッコのタジン鍋に似た形をしています。その中に厳選した多種類の薬草と食材を入れて、長い時間温泉の蒸気で蒸すと鍋の中の「気体」が、温泉と食材の旨味が凝縮された滋味深い「液体」のスープへと変わっているのです。

オーナーシェフの前田さんは、長年、別府の有名ホテルで中華料理長を務めた方。さらに「低温スチーム製法」という、45度〜95度までの繊細な温度調整で食材の成分を最大限おいしく健康的に調理する方法のチーフインストラクターでもあります。この低温スチーム製法を温泉の蒸気を使って行うために、自分のお店をオープンするにあたり、特注で世界に一台しかない蒸気式の加熱器を作ってしまいました。

お店で出されるコース料理はどれも、大分の食材と温泉の成分が溶けあった体にも優しい味。地熱利用したエコな料理は、地球にも優しいですね。鉄輪の飲泉用の温泉を口にしてみるとわかるのですが、ミネラル成分なのかやや塩味のような、すでにそれだけで「大地の出汁」がついているのです。

そういえば、お店の近くの通りで見かけた鉄輪温泉の解説看板に、興味深いことが書いてありました。約50年前に降った雨水が土地に染み込んで火山により温められたものが、今、別府に湧き出ている温泉だそうです。
約半世紀もの間、別府の地下でじっくり温められた「大地の出汁」で作る薬膳スープ。言葉に表せない何とも感慨深い味がしたのでした。

低温スチーム&ドライ薬膳レストラン『蒸士茶楼』のfacebookページ




by rutsu_tobii | 2016-05-24 23:59 | | Trackback | Comments(0)

アントワープのシュガーロード

7月初旬、私の心の故郷であるベルギーのアントワープをひさしぶりに訪れてきました。街はずいぶんお店が増えた印象です。特にチョコレート屋さん。Korte Gusthuisstraat付近は、シュガーロードと化していました。昔から店を構えていたゴディバやノイハウス、レオニダスに加え、ピエール・マルコリーニは2軒もあるし、銀座にオープンしたBbyBもオープン。日本未上陸の人気店「MARY」まであるではありませんか。

目を丸くしながら歩いていると、老舗のボンボニエール「Burie」の店の軒先に「店舗売り出し中」のステッカーが張ってあるのに気がつきました。店主の女性に尋ねると、7月25日で閉店とのこと。後5年で創業100周年だったのに。素朴なお菓子とディスプレイが可愛らしくて、何度か取材させてもらったこともあるのですが本当に残念です。
慌てて数軒隣りにある同名の老舗のショコラテリー「Burie」に行ってみましたが、こちらは昔と変わらずディスプレイに職人芸を駆使したチョコレートのオブジェを誇らしげに飾り、通常営業中。ほっとしました。とはいえ、国内外の有名ブランドが次々進出して、昔からある地元のお店は大変だろうな、と思いました。

アントワープに限ったことではありませんが、資金力のある国際的なブランドの店ばかりが増えて、ローカルの個性的な小さな店がどんどん減る傾向を、苦々しく思います。自由市場の競争原理とはいえ、必ずしも街の観光や活性化に繋がるとも限りません。とはいえ、老舗は時代にあわせて変わっていく工夫が必要でしょう。ベルギーは小さな国なので、どの街も海外からの観光客の集客がとても大事。インバウンド客の集客で観光に力を入れている、日本の地方の街もきっと似た状況だと思います。

ボンボニエールの空き店舗の後に、何ができるのかが気になります...。



by rutsu_tobii | 2015-07-15 23:59 | | Trackback | Comments(0)

ウィーン式BBQ

連日、真夏並みの暑さが続いているウィーン。クーラーはないけどプールがある家がとても多い郊外の住宅街では、水しぶきや子供たちのはしゃぐ声が、あちこちの庭から聞こえてきます。そして、週末ともなれば煙がモクモク。頻繁にBBQが行われています。

私にも早速、友人からお誘いが♪ 日曜日はウィーンのスーパーをはじめ、お店はどこも閉まってしまっているのですが、最近は駅ナカにあるスーパーが開いていることが多くなってきたので、Westbahnhof(西駅)のMerkur(スーパー)でKrems産のワインを調達して駆けつけました。

ヨーロッパでは、肉を焼くのは男の仕事。体の大きな男衆(友人の旦那達)が厨房に集まって、男の料理らしく、こだわりのレシピで肉を下ごしらえしています。網の上の肉の固まりを何度もひっくり返しながら、甲斐甲斐しく焼く様子は、微笑ましくもあります。

BBQの目玉はウィーンの森で獲れた野生のアヒルと、イノシシのお肉。ハンティングを趣味にしている男衆が、昨年のシーズン中の獲物を持ってきてくれたのでした。
バルサミコ酢、ビオの塩とハーブで味付けしています。アヒルもイノシシもウィーンの森を走り(飛び)回り、脂肪分が少ない分、お肉は固めですが味がしっかり。

これぞウィーン式BBQ。

夏の醍醐味をしっかりと味わいました。
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by rutsu_tobii | 2015-06-08 23:59 | | Trackback | Comments(0)

甘い誕生日

今年の誕生日はひさしぶりにウィーンで迎えました。
到着したその日がたまたまそうだったのですが、友人家族がウィーンらしくザッハートルテでお祝いしてくれました。
チョコレートでコーティングされたシンプルなケーキに、青い「Happy Birthday」のプレートと、青いストライプのロウソクが1本だけ。チョコレート色に青がアクセントになって、おしゃれ。とても甘いものの、大人の誕生日ケーキという感じがしました。

その後、部屋をお借りしているお家に到着すると、なんと大家さんもお得意の手作りのケーキを用意して待っていてくださっているではありませんか。真っ赤なイチゴのトルテ。テーブルの上は黄色の百合の花やナプキンで、美しく飾られています。

私はなんと果報者。
もちろん、切り分けてくださった大きな一切れを平らげました。数時間の間に、1週間分くらいの砂糖をとったかもしれません。血糖値が心配(笑)。シュガーハイで迎えた誕生日でした。
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by rutsu_tobii | 2015-06-01 23:59 | | Trackback | Comments(0)

糸切り羊羹

佐賀の土産物店で見つけた『肥前嬉野羊羹』(糸切緑茶)。
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筒型のパッケージに入ったミニ羊羹なんです。長さにして13cm、直径3cm程度の、手のひらにすっぽり入るサイズ。それに糸がついてるんですね。一見すると、筒型花火みたい。
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フタを開けて、筒の反対側の底を押すと、羊羹がニョキっとでてきます。それを、付属の糸で切って食べるんですね。だから「糸切」。パッケージもサイズも可愛らしく、お値段もプチプラ。日持ちもするので、ちょっとしたお土産はもちろん、道具いらずのスイーツなので、これからの季節はお花見ピクニックや野外でのお茶のお供によさそう。嬉野といえばお茶なので、今回は緑茶フレーバーをチョイスしましたが、紅茶フレーバーもありました。

羊羹は佐賀の名物だそうで、長崎から福岡にかけての長崎街道沿いは、南蛮菓子や郷土菓子の名菓が多く、「シュガーロード」と呼ばれているそうです。佐賀の羊羹もそのひとつ。1月に訪問した平戸で見つけた「カスドース」も、シュガーロードの名物だったんですね。蘊蓄も楽しい佐賀土産です。



by rutsu_tobii | 2015-03-13 23:59 | | Trackback | Comments(0)

元海船問屋のあま酒

3月3日はひな祭り。とはいえ、ひな祭りに欠かせない甘酒は、すでにここ最近ずっと愛飲中。先月訪れた佐賀の鹿島市で、造り酒屋が集まる酒蔵地域を紹介され、オリジナルの大吟醸や甘酒を持ち帰りました。

九州で日本酒というと意外に思う方も多いかもしれませんが、おいしい水といいお米が獲れるとあって、各県でいい日本酒を造る条件は揃っています。佐賀で有名な酒処のひとつは、祐徳稲荷神社から車で5分ほど走ったJR肥前鹿島〜肥前浜駅周辺。古くは200年以上も昔からの蔵元も含め、酒蔵や日本家屋が立ち並ぶ地域は、毎年3月下旬にお酒の試飲や直接購入もできる「酒蔵ツーリズム」のイベントが行われているそうです。

「峰松酒造」さんは、日頃から一般の方も予約なしに立ち寄れるオープンな蔵元。以前は海船問屋だったのが、転じてお酒を造り始めたそうだとか。購入した「あま酒」のひらがな表記に、あま=海女の意味もあるのかしら、と深読みしてしまいました。(笑)
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健康おたくの私に刺さった「無添加自然食品」の文字(笑)。実際、甘酒は「飲む点滴」といわれるくらい乳酸菌も豊富で滋養によいというので、一時期、手作りしていた時期もありましたが、やはりおいしい水と米で造るお酒屋さんの甘酒は格別。しばらくは、ひな祭り延長状態で楽しみたいと思います。



by rutsu_tobii | 2015-03-02 23:59 | | Trackback | Comments(0)

旅のマッチングサイト

自宅を世界の旅行者に開放するマッチングサイトAirbnbなどを利用して、カリブ海をカウチサーフィン中の友人から、近況のメールが届きました。夜中にコウモリが部屋に入ってきたり、近所の人が大音量でレゲエ音楽をかけて明け方までパーティをしていたり、寝不足が続いている模様。その分、海の美しさはさすがに極上らしく、大変想い出深い旅を楽しんでいるようです。

Airbnbしかり、世界の旅人をつなぐマッチングサイトの利用者は増加中。先週は、立体アーティストの友人Kacchiちゃんの旦那さんが、KitchHikeキッチハイクというマッチングサイトに参加して、テレビ番組で紹介されていました。キッチハイクとは、手料理で世界の旅人をつなぐサイトだそうですが、Kacchiちゃんの旦那さんはスリランカの出身で(以前このブログにも書いたことがあるのですが)とても美味なスリランカカレーを作るのです。そういう意味では、私もスリランカまで行かなくても、よく東京の彼らの自宅でキッチハイクさせていただきました。

個人的にはこのようなマッチングサイトの利用は、まだしたことがありませんが、参加にあたって一番大切なのは、お互いの信頼度。利用者の友人によると、FacebookやSNSなどでの情報公開や、もちろんユーザーレビューの評価がとても大事なようです。
ともあれインターネットのおかげで、いろんな形で旅を経験できる楽しい時代になりましたね。



by rutsu_tobii | 2015-02-17 23:59 | | Trackback | Comments(0)

お味噌作り

昨年秋の個展会場としてお世話になった、別府の鉄輪の冨士屋さんにて、手作りのお味噌作りを初めて体験してきました。冨士屋さんでは、天然の温泉熱を利用した低温調理(「地獄蒸し」として知られています)の講習会を定期的に行っているのです。今回は常連さんとおぼしき老若男女の方々が15名ほど集まっていらっしゃいました。
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味噌作りのメインの材料の「大豆」も、普通は茹でますが、今回はもちろん地獄蒸し。講習前に予め、朝の5時から蒸してくださったそう。最初にこの大豆をビニール袋に入れて、細かくつぶしていきます。
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温泉で蒸した大豆はホカホカ温か。湯冷めしにくいのかいつまでも暖かくて、捏ねる手までも暖めてくれます。まるで温泉に浸かっているように、みなさんと世間話しながらコネコネ。根気のいる作業も苦になりません♪大豆は温泉の蒸気でうっすら味がついて、甘さも増しておいしくなっています。
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お味噌作りの要の「米麹」。宇佐の「しあわせこめ王子」(可愛い名前ですね)は、なんと農薬も肥料も使っていない自然農法のお米が使われています。他にも杵築の老舗「綾部味噌」、そして別府の名店「坂本長平商店」も用意されました。さすがにお育ちのよい菌ぞろいとあって、きれいに麹の花が咲いていました。
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そのきれいな麹の花をつぶすのは忍びないですが、まずは米麹を細かく手でほぐします。こうすると、後で大豆と一緒に練りやすくなります。
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細かくした米麹をさきほどのつぶした大豆と塩とよく混ぜ合わせます。固くなりすぎないように、時々水を加えるのがポイント。
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よく練ったら、最後はジップロックに入れて、空気がなるべく入らないように詰めます。
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このまま、冷暗所で6ヶ月ほど置くと、りっぱなお味噌の出来上がり。簡単ですね!期間が長いほど色も濃く味も深みが増すそうですが、温度が上がると熟成が進むので加減をみながら寝かせます。白味噌はもっと短い期間でできるそうです。
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この後、10か月モノの手作りのお味噌を使ったお味噌汁をいただきました。塩分は今回作ったのと同じ8%と控えめで穏やかなお味。具のお野菜も地獄蒸しの蒸し野菜で甘く、旨味が増しています。

ところで、最近、マルコメ味噌が「熟成中にロック音楽を聴かせて作った味噌」を発売というニュースを見ました。ワインやビールなどクラシック音楽を聴かせて作った、などという話は度々聞きますね。私も手作り味噌に、何か聴かせてみよっかな♪



by rutsu_tobii | 2015-01-18 23:59 | | Trackback | Comments(0)

平戸の甘辛土産

平戸について事前の下調べは全くしていませんでしたが、道沿いにいくつもでていた看板で気になった名物らしきものは「カスドース」。通りで最も風情のある趣きをしていた菓子店に入り、聞いてみると、カステラに卵黄をからませ、蜂蜜で揚げ、砂糖をまぶした南蛮菓子とのこと。たまたま入ったその店『蔦屋』こそが元祖だそうで、おみやげにおススメされました。後で調べると、創業1502年、500年以上の歴史を誇る九州で一番古い菓子だったのでした。
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作り方を聞いただけで、相当甘そう(汗)と覚悟していましたが、意外と上品な味。濃いお抹茶とならぴったりです。
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次に目についたのが、海産物、特にあご(トビウオ)の看板です。こちらも、通りに立ち並ぶ店の中から気になった1軒『平戸蒲鉾本舗』に入り、迷わずあごのかまぼこを買ってみました。店番のおばあちゃんによると、かまぼこを包む材質にプラスチックのストローではなく、本物の麦を使っているとのこと。「麦すぼ巻」というそうなのですが、「日本中探してもかまぼこに本物の麦わらをつかっているのはウチだけよ!」と、オンリーワンを強調されました。
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実際に食べてみると、わらの香りがかまぼこに移って香ばしい逸品。こちらはお酒にぴったりの辛党好みのお土産になりました。
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知らない街を歩くというのは、最もカンが鍛えられる機会。危険回避からおいしいものを探し当てることまで、感覚を研ぎすませます。今回のように、短時間ながらもよく町を観察して、いい品物を探して当てられると喜びもひとしおです。



by rutsu_tobii | 2015-01-11 23:59 | | Trackback | Comments(0)

アート・ラッピング販売開始

11月になり、ベップ・アート・マンスのスタートと同時に、別府市内の洋菓子店『Epanouirエパヌイール』さんで、アート・ラッピング付きの特製焼き菓子セットの販売が始まりました。
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チョコレート色のBOXの中に、エパヌイールのオーナーでパティシエールの加藤さんが今回のために選んでくれた、おすすめの焼き菓子5種類が入っています。
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マドレーヌ、別府ブラウニー、おさつクッキー、お花のフィナンシェ、マロンパイの5種類が入って1300円(税抜)。結構ずっしり重さがあります。どれもおいしいのですが、特に大きな栗の入ったマロンパイはサクサクですっかり気に入りました。濃厚なブラウニーや、さつまいもを使った自然な甘さのクッキーも寒くなり始めた秋のお茶の時間にぴったり。
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限定200個セット、店頭のみでお買い求めできます。お店にはしばらくの間、銅版画と水彩で作った原画も飾っています。

エパヌイールさんは、市内のみならずオンライン通販店としても人気洋菓子屋さん。町のケーキ屋さんとして子供達のリクエストに応えて微笑ましいキャラケーキも人気ですが、アレルギー対応のケーキも作ってくれるということから、全国にリピーターのお客さんがいる洋菓子屋さんです。個人的にはカスタードクリーム好きの私はこちらのシュークリームに目がありません♪

オーナーの加藤さんとは、実は古いお友達同士。彼女が東京の大学に通いながらお菓子の勉強を頑張っている姿をみていたのですが、その後20年以上も疎遠になっていました。3年前に再会して、彼女が自らのお店を開いたことを知った時は「夢を叶えたんだなあ」と、感慨深かったです。今回はそんなほっこりエピソードもあるコラボレーションなのでした。



by rutsu_tobii | 2014-11-02 00:00 | | Trackback | Comments(0)
トビイ ルツ|TOBII & RUTSU「ペン一本でどこでも行ける」生活に憧れるイラストレーター&モノ書きです
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