トビイ ルツのTraveling Mind

「生活の質、世界一」の街に暮らしてみて #2

日常の食に関しては、一般的なチェーンスーパーでもビオ(無農薬有機栽培)の独自ブランドに力を入れていて、ビオ食品や日用品の種類が豊富な上に、手頃な価格で手に入ります。
野菜のみならず肉や卵、牛乳やヨーグルトなど(今が円高なのもありますが)日本の価格の1/3くらい。例えばビオの卵は1パック10個入りで3.5ユーロ〜4ユーロ。オーストリアは、有機栽培の農地の比率がヨーロッパでもトップクラスなのだそうです。
1970年代にすでに原発を持つことに国民投票で反対したオーストリアは、原発ゼロ、自然エネルギー推進派の環境先進国。当然ながら今回の日本でのフクシマの事故に関しても関心は高く、事故直後には、オーストリア航空は独自に放射線量を測る機械を搭載して、乗務員や乗客の安全のために放射線量を監視していたのだとか。

このように自然も含め、生活に必要な社会的環境は素晴らしいウィーンですが、喫煙者の多いことは気になりました。統計によると、オーストリアの喫煙率は世界でも高く、特に女性の喫煙率は世界一なのだとか。実際、歩き煙草をしている人や、多くのカフェやレストランではまだ禁煙や分煙にもなっていない所も多く、その点がかなり残念です。

あくまで個人的な趣味の問題ですが、現代のアートやデザインシーンも、西ヨーロッパや北欧に比べると、どこか時代遅れというか、目新しいものには出会えていないのも残念な点。日本でもウィーンというと、今だにクラシック音楽や宮廷風のお菓子のイメージが先攻していると思いますが、オーストリアにはその歴史や伝統をふまえた斬新なデザインや、食などライフスタイルに関するのシーンがもっとあってもいいはずなのに、とたかだか半年の滞在ですが、感じてしまいました。H&Mのようなどこの国にでもあるファーストファッションの品揃えさえ保守的だし、おみやげものひとつとっても、今ひとつ新鮮なアイデアが感じられません。多くのお店のディスプレイもごく平凡。小国ながら革新的でクリエイティブなベルギーやオランダなどと比べると、きっと国内の市場と平和で豊かな現状に満足してしまっていて、冒険心や新しい潮流が生まれにくいのでは?と思うのは私だけでしょうか。そのせいか、ウィーンの芸術アカデミーを卒業した生徒たちも、インスピレーションを求めて、ベルリンや他の国へ行ってしまうアーティストは少なくないのだとか。短い滞在ですぐにはジャッジできませんが、現代的なカルチャーシーンは引き続き、興味深く観察したいです。

世界一暮らしやすい街で、国の幸福度も高いのに、人々の笑顔が少ないのも気になります。(きっとまじめなんでしょう)離婚率もウィーンは人口の6割とあまり好ましくない世界一を獲得しているのも意外でした。最近、アメリカの調査機関の発表で、砂糖のとりすぎは短気を起こさせて離婚につながりやすいという統計がありましたが、お菓子の食べ過ぎが関係しているのでしょうか!?(笑)

暮らしやすさ、幸福度の概念はひとそれぞれ。都市の空気や水が汚れていても、楽しい仲間が身近にいなければ不幸でしかないという人もいるでしょうし、自分の好みにあった文化的な楽しみや、ネット回線が通ってなくてもぜんぜん生活に困らないという人もいるでしょう。
震災後、もう本当に欲しいものしかいらないと思えた私ですが、幸せのために何が大切で、何がそうでないのか、いろいろ考える機会を与えてくれたウィーンでの半年間でした。



by rutsu_tobii | 2011-12-03 22:18 | カルチャー
トビイ ルツ|TOBII & RUTSU「ペン一本でどこでも行ける」生活に憧れるイラストレーター&モノ書きです
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