トビイ ルツのTraveling Mind

OPAMで見えないものを見る

もう10年以上前のこと。雑誌『マリ・クレール』で読んだ美術評論の記事が、私のアートの見方に大きな影響を与えました。「美術キュレーターの役割」について話で、もの言わぬ作品を前に、作家の考えていることや思いを感じとり、語らなければならない彼らを、「見えないものが見える」霊能者のように例えた記事がとてもおもしろくて、多いに刺激を受けました。常々、「専門家はどうやって作品を見ているのだろう? なぜ真っ白に塗られただけのキャンバスや、形や色だけの作品からいろんなことがわかるのだろう?」と、不思議に思い、彼らの感受性に畏敬の念と憧れをもっていたからです。
マリ・クレールで読んだこの記事は、美術作品の楽しみ方のひとつの提案として、後に私が企画・執筆したイコノロジーの記事のインスピレーションにもなりました。その時マリ・クレールの美術評論を書いていたのが新見隆氏、4/25にオープンしたOPAM(大分県立美術館)の館長さんです。

オープニングの展覧会で訪れたOPAMでは、ずいぶんいろんな目に見えないものが見えた気がします。見えないものを見るには、心を開いて五感を総動員することが大切なのですが、坂茂氏の建築が作り出した心地のよい空間が、自然と人々をリラックスさせ、好奇心を呼び起こし、「いろんな感覚を使いたくなる」状態にさせてくれるのです。

開催中の展覧会『モダン百花繚乱〜大分世界美術館』では、館長や学芸員の方の言葉で「見えないものを見る」ためのアドバイスをしてくれています。レンタルしているオーディオ機で聴く解説も訳にたつと思います。
今回、展覧会で選ばれた作品からは、楽器の奏でる音楽から、風が起こすさざ波の音までが聴こえます。竹の瑞々しい香りもあれば、原爆で皮膚の焼けこげた匂いもしました。

自然と身体のあちこちの感覚を使うので、もし疲れた気がしたら、3階の吹き抜けの楕円形の窓から見える空を眺めて、ぼーっとするのがいいと思います。もしくは太陽の光がいっぱいの1階のアトリウムのコーヒーの香りと、太陽の光で癒されるのもよし。2階のカフェレストランChariteシャリテのボリュームランチで、さらに「五感を満腹」にするのもよいかもしれません。
OPAMで見えないものを見る_d0069964_2311627.jpg

日が暮れて、美術館に明かりが灯ると、昼には見えなかった建物の美しい模様のシルエットが浮かびあがります。OPAMは見えないものを見るための、楽しい仕掛けがたくさんある場所でした。



by rutsu_tobii | 2015-05-11 23:59 | アート&デザイン

トビイ ルツ|TOBII & RUTSU「ペン一本でどこでも行ける」生活に憧れるイラストレーター&モノ書きです
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